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6/17発売『HEARTBEAT / SUPER SMASHING GREAT』クロスレビュー①

2020.06.16

まもなく発売の『HEARTBEAT / SUPER SMASHING GREAT』のクロスレビュー①を公開です。
著者は音楽サイト「Mikiki」のライター・編集者の田中亮太さん。
ぜひお読みください。

2010年代のロックは〈先鋭的でなければいけない〉という強迫観念とともにあった。ラップ/R&Bの隆盛(とそれに呼応したポップの変化)……という紋切り型の説明はさておき、その背景には、音楽シーンのなかでロックが求心力をなくしていったことも関係している。つまり、多くのバンドが〈いかにロックをアップデートするか〉という命題に向き合わざるをえなかったのだ。ここ日本でも、いくつかのインディー・バンドたちは、音作りの参照点を外側に求めることで、前進をはたしてきた。あるものはロバート・グラスパー以降のジャズを、あるものはトラップやフューチャー・ベースを、あるものはポスト・クラシカルを研究。それらの手法を取り入れながら、独自に音楽を磨き上げていったのだ。

とはいえ、音楽シーンのなかでの存在感という点では、日本のロック(特にインディーと呼ばれてきたもの)は、いつの時代もニッチなものであったということは押さえておくべきだろう。小出亜佐子著「ミニコミ『英国音楽』とあのころの話」に詳しいが、80年代半ば~90年代序盤、海外から輸入されたインディー・ミュージックは、きわめて小さなコミュニティーで消費されてきた。90年代半ばにUKロックのバブルが起きたことで、あたかも現在は下火の時期かのように捉えられがちだが、実際のところ日本においてインディー・ロックは、多くの人々にとっては視野にさえ入らない、すなわち〈理解されない〉ものだった。

TENDOUJIの魅力は、そもそも〈理解を求めてない〉ところにあると思う。30代を目前にバンドをはじめたという、若くなさも関係しているのか、この4人組は常に自分たちの〈やりたい〉を指針に突き進んでいるように見えていた。大きな音で力いっぱい楽器を弾き、ハッとしてグッとくるメロディーを歌う、いうなればストレートなロック。それを、あえて、ではなく、やりたい、からやる。シンプルな動機がブレないからこそ、TENDOUJIは2010年代のロックを取り巻く強迫観念とも無縁でいれたのではないか。だって、彼らはロックを前に進めようなんて思っていないんだから。そして、そうした自分本位なスタンスが、バンドとファンとの幸福な関係性にも結びついているように感じる。彼らのライヴに足を運んだとき、オーディエンスがステージを崇めるように観るのではなく、めいめいが好き勝手に楽しんでいる姿が印象深かった。TENDOUJIがそうであるように、フロアもやりたいようにやる、のだ。

新しいシングル『HEARTBEAT / SUPER SMASHING GREAT』で、その〈やりたいようにやってやる感〉がさらに加速したように思う。プロデューサーに入った片寄明人は、2018年のEP『FABBY CLUB』からの付き合いだが、これまで以上にバンドや片寄の軽快なノリを感じさせるサウンドになっている。まず“HEARTBEAT”は、スコーンと抜けのよいサウンドが爽快。音作りの面でもユーモラスなアイデアがふんだんに組み込まれており、リスナーを楽しいポゴ・ダンスへと誘うナンバーだ。そして、続く“SUPER SMASHING GREAT”は、リリックにも出てくるクラッシュとバズコックスのオマージュを、随所で差し込んでいくパンク・ソング。両曲ともシンセ・ベースが効果的に使われており、フレッシュな印象を受けた。彼らのなかでも、とりわけポップに振り切ったシングルと言えるだろう。

言うなれば今回のTENDOUJIは、愉快で陽気なのだ。馬鹿っぽさが増した、と言ってもいい。思えば、これまでの彼らは、お気に入りの洋楽からの引用を重ねながらも、あくまで硬派なロック・バンド然としたところがあった。カートゥーンアニメから出てきたかのような風貌とキャラクターを、あますところなく音楽に落とし込めてはいなかったように思う。だが、今回の2曲では、ポップにコミカライズされたメンバー4人が、カラフルな2次元の世界でドタバタと暴れまわっている姿を想像できた。そんなところがすごくいい。

ポップとラップの10年が終わり、いまは2020年。そろそろロックもサウンドを進化させなければいけない、という強迫観念から解放されるときなんじゃないだろうか。ドッグレッグの『Melee』やフォンティンズD.C.の『Dogrel』――昨年から今年に入ってリリースされたいくつかの作品からも、そうした気運を感じることができた。前述したように、TENDOUJIは、そうした時代の潮流と無関係でいられたバンドではあるが、この憑物が取れかたのように溌剌としたシングルは、意図せずしてそうした感覚のもとで歓迎されるのかもしれない。

今回のシングルはアナログ盤でも同時リリースされるという。ポップで色鮮やか、あっという間に終わってしまう2曲は7インチにぴったりだと思う。より笑えて、より踊れる。いまTENDOUJIのロックは、かつてないほどロールしているんじゃないだろうか。とことん転がっていけばいい。ただやっていれば、気がつかないうちに〈想像を超えた〉場所まで辿り着くこともあるだろう。

田中亮太

矢島大地さんのクロスレビュー②はこちら

6月17日発売
TENDOUJI ダブルA面シングル『HEARTBEAT / SUPER SMASHING GREAT』

<CD> ASNP-006 / ¥1,200+税
1. HEARTBEAT
2. SUPER SMASHING GREAT
bonus tracks(LIVE at LIQUIDROOM PINEAPPLE TOUR FINAL 2020.2.14)
1. KILLING HEADS
2. SALV.
3. LIFE-SIZE
4. D. T. A.
5. PEACE BOMB
6. HAPPY MAN
7. GROUPEEEEE

<7インチ> ASNPv-006 / ¥1,600+税
A. HEARTBEAT
AA. SUPER SMASHING GREAT

※各サブスクリプション、DLも同日開始

TENDOUJI ONLINE RELEASE PARTY
『生放送!このままキミをHOT!GET!NIGHT!!!』
6月17日(水)START 20:00
@Streaming+にてオンラインライブ配信
PARTY TICKET ¥1,000
Tシャツ付き¥3,000 
THANK YOU SOLD OUT!
48時間アーカイブ視聴可

出演 TENDOUJI
時間 OPEN 19:30 / START 20:00
料金&チケット
■販売URL:https://eplus.jp/tendouji/st+/
■販売期間:6/04(木)22:00 ~ 6/17(水)23:00
〇PARTY TICKET(ライブ視聴券) ¥1,000
〇【数量限定】『HEARTBEAT/SSG』Tシャツ付き PARTY TICKET(ライブ視聴券) ¥3,000
■ライブ配信時間:60~90分予定(変更になる場合がございます。予めご了承ください。)
※途中から視聴した場合はその時点からのライブ配信となり、生配信中は巻き戻しての再生はできません。
■視聴可能期間:配信開始~48時間・6/19(金)20:00まで(ライブ配信後に再配信処理を行いますのでご覧いただけない時間がございます。)
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